一人暮らしを始める時に気になるのが、住民票を実家のまま移さないのは問題ないのか。
結論から言えば、住民票を実家から移さないで一人暮らしするのは原則NGです。しかし、正当な理由による例外が認められている状態です。
そこで今回は「住民票を実家から移さない正当な理由」から「住民票を実家のままにするメリット・デメリット」まで不動産のプロが徹底解説します。
本記事を読むことで、住民票を実家のまま一人暮らしする方法を理解できるので、ぜひ最後までご覧ください。
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住民票を実家のまま一人暮らしできる?
結論から言うと、住民票を実家のまま移さないで一人暮らしすると、バレたタイミングで罰金対象となります。
住民基本台帳法により、転入・転居から14日以内に該当住所の市町村長に届け出を行うことが義務づけられており、届け出を行わない場合は、5万円以下の罰金が科される可能性があります。
(転居届)
第二十三条転居(一の市町村の区域内において住所を変更することをいう。以下この条において同じ。)をした者は、転居をした日から十四日以内に、次に掲げる事項を市町村長に届け出なければならない。
一氏名
二住所
三転居をした年月日
四従前の住所
五世帯主についてはその旨、世帯主でない者については世帯主の氏名及び世帯主との続柄(転出届)
第二十四条転出をする者は、あらかじめ、その氏名、転出先及び転出の予定年月日を市町村長に届け出なければならない。引用元:https://laws.e-gov.go.jp/
もちろん例外はありますが、基本的には一人暮らしをする場合は、実家から住民票を移す義務がありますので、転入・転居対応はしっかりとやりましょう。
そもそも住民票とは?
住民票(じゅうみんひょう)とは、日本において住民の基本的な情報を記載した公的な証明書のこと。以下のような情報を含む証明書となります。
- 氏名
- 性別
- 住所
- 生年月日
- 世帯主との続柄
- 住民登録日や転入・転出の履歴
住所変更しないで実家から一人暮らしするとバレる理由
「でも、住所変更しないで実家から一人暮らしをしても、住民票なんてバレないのでは?」と考えている方もいるでしょう。
ただ、住所変更しないで実家から一人暮らしすると、基本バレます。例えば、社会人であれば、会社から住民票の提出を求められるケースがあるので、その場でバレるでしょう。
詳しくは後述しますが、住民票を実家から一人暮らしの住所に移さないことはデメリットが多いので、一人暮らしをするのであれば、住民票を移すことをおすすめしますよ。
>>【最低額】一人暮らしの初期費用!初めての方向けにいくらあれば始められるのか?を徹底解説
住民票を実家から移さない正当な理由があれば別
ただ、住民票を実家から移さない正当な理由があれば話は別で、住民票を実家のままにしてOKです。
例えば、以下のような理由ですね。
順番に見ていきましょう。
正当な理由①:一時的な転居の場合
一時的な転居である場合、住民票を実家に残しておく正当な理由になり得ます。
具大抵なケースで言うと、転居先が短期間の居住予定だったり、単身赴任だったり。期間は法律で決まっているわけではありませんが、ざっくり1年未満が線引きのラインとなるでしょう(自治体によって変わります)。
正当な理由②:実家でも生活している場合
仮に新たな場所に住んでいる場合でも、実家での生活が継続している場合、住民票を移さずに実家に残しておく正当な理由になります。
こちらも明確な基準があるわけではありませんが、年間の1/3ほど実家で暮らしているのであれば、問題はないと言えるでしょう。
正当な理由③:海外転勤や留学をする場合
海外転勤や留学などで一時的に日本を離れる場合にも、住民票を実家に残す正当な理由です。
日本国外に長期間住む場合、住民票を抜いてしまう選択肢もありますが、実家に住民票を残しておくと、日本に戻った際の再手続きが簡素化されます。日本国内での行政手続きやサービスの利用が円滑に行えるので、逆に実家に住民票を残しておくのがおすすめです。
以上が住民票を実家から移さない正当な理由。他にも細かいケースはありますが、一人暮らし先の住所に本格的に住むのであれば、何にせよ住民票を移すことは必須ですね。
>>【50名調査】一人暮らしに1LDKは広すぎる?広い部屋は無駄/いらない?
住民票を実家のままにするメリット
次に、仮に住民票を実家から移さない正当な理由があったとして、住民票を実家のままにするメリットを解説していきますね。
順番に見ていきましょう。
メリット①:郵便物の管理が楽ちん
まず住民票を実家に残しておくことにより、郵便物の管理が非常に楽になります。
引っ越しをしても、実家に住民票を置いたままであれば、重要な書類や各種通知がすべて実家に届くため、わざわざ転送手続きをする必要がありません。特に、住民票の住所に基づいて送られる年金通知や税金の支払通知など、見落としてはいけない重要な郵便物が確実に管理できるのが大きなメリットです。
さらに、実家の家族が郵便物を受け取ることで、長期間留守にしている間でも郵便物の保管が可能になります。例えば、海外転勤や長期の出張、留学などで自宅を空ける期間が長い場合、住民票を移さず実家に置いておけば、家族が郵便物を受け取りやすく、重要な郵便物をチェックする手間が省けます。
また、郵便物の住所変更手続きを繰り返す必要がないため、引っ越しが多い人や一時的な転居をする人にとって便利。郵便物が一元管理できることで、届かないリスクが減り、生活上のトラブルが少なくなるでしょう。
メリット②:行政手続きが簡素化できる
住民票を実家に残しておくことで、行政手続きを簡素化することも可能です。
例えば、短期間の転居や一時的な引っ越しをする際、住民票を移すための手続きや費用がかかりますが、実家に住民票を残しておけばこれらの手間を省くことが可能。数か月間の出張や転勤で新しい場所に住む場合、住民票を移動させることで各種の公共サービス利用や書類の住所変更が必要になりますが、一時的な転居であれば住民票をそのままにする方が効率的です。
さらに、住民票を移動させずに実家に残すことで、納税や保険関連の手続きが一元化できるため、煩雑な手続きや書類の管理が楽になります。
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住民票を実家のままにするデメリット
次に、住民票を実家のままにするデメリットも合わせて解説していきますね。
順番に見ていきましょう。
デメリット①:公的書類の取得が不便になる
まず住民票を実家のままにしていると、公的書類の取得が不便になるデメリットがあります。
役所で発行される書類、住民票や戸籍抄本などは、住民票が登録されている市区町村でしか手続きを行えません。そのため、現住所と住民票の所在地が異なる場合、書類の取得のたびに移動が必要になります。
加えて、住民票が実家にある状態では、マイナンバーカードなどでの証明書発行も不便になることも。マイナンバーカードによるコンビニ交付が利用可能な市区町村も増えていますが、対応エリアでない場合もあり、結局は現地での受け取りが求められることが多いです。
さらに、書類の郵送手続きも一部の自治体では対応していますが、郵送期間がかかり、緊急性のある場合には不便になってしまいます。
デメリット②:住民税の手続きが複雑化する
住民税の支払いについても、住民票を実家に置いたままでは手続きが複雑になる可能性があります。
住民税は住民票の所在地に基づいて計算・徴収されるため、現住所と住民票が異なると支払い先が異なり、支払い漏れや二重課税のリスクが生じます。
たとえば、給与所得者の場合は勤務先が住民税を天引きする仕組みですが、現住所で登録されている場合とは異なる税率や制度が適用されることもあり、収入と実際の負担額にズレが生じる可能性があります。また、確定申告が必要な場合には、現住所と住民票の市区町村で異なる申請手続きや提出書類が求められ、非常に煩雑です。
税金の手続き漏れがあると、延滞税やペナルティが課されるリスクもありますので注意が必要ですね。
デメリット③:災害時の支援物資が届かない
住民票が実家のままの場合、災害時の支援物資の受け取りが困難になる可能性があります。
自治体によっては、住民票の情報をもとに支援物資や救助活動を行うため、現住所と住民票の所在地が異なる場合、実際に被災しても適切な支援が届かないことがあります。
大規模災害が発生した際、自治体が被災者に対して一時的な住居の提供や食料・水の配布を行う場合、住民票の住所に基づいて手続きが進められることが多いので、現住所に住民票がない場合、実際の居住地では支援が受けられず、実家の市区町村で支援を受けるよう案内される可能性があります。
また、自治体による安否確認や支援活動がスムーズに行われるようにするためにも、現住所で住民票を登録しておくことが重要です。災害時の迅速な支援が受けられるよう、現住所に住民票を移しておくことが推奨されます。
デメリット④:本人確認郵便の一部が受け取れない
住民票が実家のままの場合、本人確認が必要な郵便物の受け取りが一部できない場合があります。
金融機関の口座開設や重要な契約書の送付などでは、本人確認が求められる場合が多く、住民票の住所にしか郵送できないケースも多いためですね。
例えば、銀行口座の開設時に発行されるキャッシュカードやパスワードの郵送は、住民票の住所に限定されることが多く、実家にしか届かない場合があります。結果として、頻繁に実家に戻らなければならないことが増えてしまうかもしれません。
デメリット⑤:現住所の自治体でサービスを受けられない
現住所と住民票の所在地が異なると、現住所の自治体が提供する様々なサービスを利用できないことがあります。
多くの自治体サービスは住民登録を条件としているため、現住所で住民票がない場合、子育て支援や医療補助、その他の福祉サービスを受ける際に制限がかかることがあります。
例えば、現住所の自治体が提供する医療費補助や子育て支援金、公共施設の利用料減免など、住民登録が条件のサービスが利用できないなど。他にも、自治体によっては図書館の利用ができないケースもあります。
以上が住民票を実家のままにするメリット・デメリット。大半の時間を引っ越し先で暮らすのであれば、住民票は移しておいた方がトラブルが少なくおすすめですよ。
ちなみに賃貸契約をする際は、実は節約できる初期費用が多いです。下記記事にて、よくぼったぐりされる費用を解説しているので、合わせてご覧ください。
>>【高すぎる】賃貸の初期費用で払わなくていいもの5選!交渉できる項目まで不動産屋が解説
住民票を実家から一人暮らしの住所へ移す手順
最後に、住民票を実家から一人暮らしの住所へ移す手順を解説していきますね。
順番に見ていきましょう。
住民票を移す手順①:転出届の提出
一人暮らしを始める際、まず現在の住所地の市区町村役場で「転出届」を提出する必要があります。
転出手続きは引越しの14日前から当日まで行うことが可能です。提出後、「転出証明書」が発行され、次の手続きで必要となります。
- 本人確認書類:運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど。
- 印鑑:署名で済む場合もありますが、念のため持参すると安心です。
- 国民健康保険証:加入者のみ。引越しに伴い手続きが必要となるため、持参してください。
- 市区町村役場の窓口で「転出届」を入手し、必要事項を記入します。
- 窓口で提出し、本人確認を行います。
- 「転出証明書」を受け取ります。この証明書は、引越し後の手続きで必要となるため、大切に保管してください。
提出期限は引越し後14日以内となりますので、計画的に手続きを進めていきましょう。
ちなみ代理人による手続きや郵送での手続きも可能。代理人手続きであれば、委任状と代理人の本人確認書類があれば対応可能です。
住民票を移す手順②:転入届の提出
新しい住所地に引越した後、新しい市区町村役場で「転入届」を提出する必要があります。
転入手続きは、引越し後14日以内に行うことが法律で定められています。期限内に手続きを行わないと、過料が科される可能性があるため、注意が必要です。
- 転出証明書:前住所地の市区町村役場で受け取ったもの。
- 本人確認書類:運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど。
- 印鑑:署名で済む場合もありますが、念のため持参すると安心です。
- マイナンバーカードまたは通知カード:住所変更の手続きが必要となります。
- 国民健康保険証:加入者のみ。住所変更の手続きが必要です。
- 新しい市区町村役場の窓口で「転入届」を入手し、必要事項を記入します。
- 窓口で「転出証明書」とともに提出し、本人確認を行います。
- マイナンバーカードや通知カード、国民健康保険証の住所変更手続きを行います。
転出届と同様に、委任状と代理人の本人確認書類があれば代理人でも手続き可能です。
また、転入届の提出と同時に、国民健康保険や国民年金の住所変更手続きも行うとスムーズですよ。
住民票を実家のまま一人暮らしできる?:まとめ
正当な理由があれば住所変更をせずに一人暮らしすることは可能ですが、住民票を実家のまま一人暮らしは原則NGです。
短期的な居住なら住民票を移さないメリットは大きいですが、中長期であればデメリットが大きくなるので、住民票は引っ越し先に移すのがおすすめですよ。
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